香川県観音寺市伊吹島方言の4拍体言のアクセントについて調査した結果を述べる。
まず4拍語部分体系は次のようになっている(−は欠如)。
| 平進式(H) | 下降式(F) | 上昇式(L) | |
| 0型 |  ̄トモダチ | \アシモト | /アトアシ |
| 1型 |  ̄ア'サガオ | − | − |
| 2型 |  ̄アマ'ザケ | \マメ'ルイ | /イド'ミズ |
| 3型 |  ̄カネモ'チ | \カガク'シャ | /カマキ'リ |
| 4型 | ( ̄アクルヒ') | − | /イロジロ' |
このうち今回の調査で初めて具体的な語例の見つかったF2型とF3型につき、それぞれの語例とそこに見られる特徴について明らかにした。
ついでモーラ音素に核がくる例を取り上げ、この方言がモーラアクセント方言であることを再確認した。この方言の上昇式においては、促音も確実に核を担うことができる。
本文の最後に3800語あまりの4モーラ体言のアクセント資料を付す。
本稿は、談話標識をメタ語用的判断を示す要素として、その働きとして4つの主要な機能を設定することを提案する。4つの機能とは、(1)談話単位統括機能、(2)メタ認識提示機能、(3)パラ認識提示機能、(4)談話構成機能であり、これらは互いに独立して均等な効果を有するものではなく相互に作用しあいながら異なる準位で機能する。
有性物を数える助数詞「人(にん)」「羽」「頭」「匹」の用法の記述を中心に、無生物を数える助数詞「体(たい)」「台」「個」と併せ、日本語ではどのように有性物を捉えているかを、新聞記事と見出し、およびテレビでの発話をデータとして分析する。更に、無生物でありながら有性物助数詞が付与される例について検討し、バーチャルペットやロボット犬といった有性物の持つ特徴を多く備えた無生物を数える際の助数詞の選定についても考察する。結論として、数えられる対象が有性物か無生物であるかの助数詞選定は、生物学的な分類に従っているのではなく、話者がその対象をどのように捉えるかによって決定されていることを主張する。
本稿では、これまで韓国語の研究にあまり用いられなかった朝鮮資料を分析し、韓国語の口蓋音化の歴史を再検討する。本稿の分析により、従来の韓国語文献の分析からは見えなかった面を明らかにすることができると考える。分析結果をまとめると次のようになる。
本稿は、中国語の"把"構文の意味について記述するものである。"把"構文は、ある行為を行ったり、ある状態であり、ある属性を持つことの結果として、"把"の後ろの名詞(句)によって表される事物に何らかの変化を起こすことを表している。
スラウェシ島北部で話されているバンティック語は、オーストロネシア諸語の一つであり、サギル諸語の一つとされている。本論文では、バンティック語の統語的特徴の概略を述べる。まず動詞の取りうる態と、統語的特徴について述べ、動詞の下位分類についても述べる。バンティック語の動詞は、接中辞-um-/-im-、接頭辞ma-/na-、接頭辞maN-/naN-のどれかをとって文中に現れる。また、これらの動詞は、名詞を一つとるintransitive verbs、二つとるtransitive verbs、三つとるditransitive verbsのどれかとなる。名詞が文中に現れるとき、三種類の接頭辞のどれかを伴って現れることがあるが、この接頭辞が文中名詞の格を表す働きをすると考えられる。他に形容詞、前置詞、付属語に語クラスを分けることができる。
スンバワ語の否定辞には、(i)no、(ii)na、(iii)siongの三種類がある。(i)noは一般的な否定を表す。またnoは、アスペクト辞、談話辞などとの共起形を持ち、「否定が成立する場」の限定などに関わる様々な意味を表す。(ii)naは主文では禁止を表し、従属節では、否定の目的「〜しないように」を表す。(iii)siongは、否定される事柄の代わりに実際に成立する事柄が提示されている場合に用いられる。
チベット語の述語のうち、名詞化接辞を持つ述語「V-kyu+述語名詞」は、名詞述語の形式を保ちながら、名詞述語としてだけではなく、動詞述語としても解釈される。動詞述語として解釈される場合の意味は、必ず実現する(と話し手が捉えている)未実現の事態を表すという共通項を持つが、述語動詞が確定判断の述語動詞か存在存続の述語動詞かによて、また、話し手が事態をどのような局面で捉えるか、またその事態がどのような状況にあると捉えるかによって、様々な意味に解釈される。
ポー・カレン語東部方言の関係節には「後置型」「前置型」「標識介在型」の3つがある。これらの使い分けの条件を探るのが本稿の目的である。筆者の資料を調査した結果、主要部名詞が関係節の主語に相当する場合には後置型が多く使われること、主要部名詞が非主語の場合には前置型が多く使われること、標識介在型が使われる頻度は低いこと、などが明らかになった。
サンクト・ペテルブルグ(ロシア)東洋学研究所所蔵の中央アジア諸言語の写本が、マイクロフィルム化されて東洋文庫にもたらされつつある。それらの写本の内、中世イラン語の一つであるコータン・サカ語写本を検索するための目録である。
トルコ語ドイツ語二言語使用の生徒たちの言語意識を調査する目的で、トルコ系住民の多く住むベルリンのKreuzberg地区のGesamtschuleにおいてアンケートを実施した。アンケートの中には「夢を見ているときどの言語で話していると思うか」という質問が含まれていた。この質問への回答が実際に何を反映しているかを、同じアンケートの他の項目の回答と比較しつつ検討した。
バスク語アスペイティア方言の、助動詞zako活用が現れる複合形について記述を試みる。
アムハラ語(エチオピア、アフロアジア語族セム語派)の継起形は、従来2つの意味、用法を有すると記述されてきた。即ち、ある動作に時間的に先行する動作を表す用法(継起用法)と、ある動作に対する同時的・付随的な動作を表す用法(付随状況用法)である。本稿では後者の用法が意味論的に前者の用法と関連を持つことを論じた。又、付随状況用法の一部に関し、特異な語順が見られることも指摘した。
ケチュア語クスコ方言の91のなぞなぞに、解釈を付けたものを掲げる。