香川県観音寺市伊吹島方言アクセント調査の続報として、本論集19号掲載の拙稿(2000)「伊吹島方言の複合動詞のアクセント規則」の後に行なった複合動詞の追加調査の結果について述べる。約2600項目のアクセント資料を提示し、そこには上記拙論で示した次の規則が当てはまっていることを確認する。
併せて、調査現場における記録の取り方として最近用いている「直接入力法」、すなわち、調査票に手で書き込む過程を経ずに、直接パソコンに入力する手法を紹介し、その得失について述べる。
桂川甫周の『雞林文譯』(1798)の紹介と仮名音注の分析を行う。分析結果は次の通り。
これまで無アクセント方言と考えられてきた全州方言にアクセントの弁別性が保たれていることを明らかにし、全州方言のアクセント体系を不完全3型アクセントと結論づける。
本論文では、インドネシア国スラウェシ島北部で話されているバンティック語のテンスとアスペクトのシステムについて述べる。バンティック語の動詞は、非過去形と過去形の二つのテンスを接頭辞の形態の違いによって義務的に表す。また二つの小辞teとkenが動詞の後に置かれて、それぞれ完了と継続のアスペクトを表す。結果として、バンティック語の動詞は、非過去か過去かのみを接頭辞の違いによって表す場合と、非過去形+完了、非過去形+継続、過去形+完了、過去形+継続の四つの組み合わせのどれかをとって時間についての表現を行う場合がある。これに対し形容詞は、テンスの形態的な対立を持たないが、小辞のteとkenは取る。また、動詞であっても、能力や習慣を表すものはテンスの対立がないかに見える場合があるが、考察を深めれば、それらもまたテンスの対立を持つことが分かる。
本稿ではモンゴル語の二人称所属小辞čin'とtan'の違いを語用論的な観点から説明する。両者の違いは、「丁寧で柔らかい調子で接しようとする話し手の態度」を表すかどうか、という点にある。čin'はこの態度に関しては非関与的であるのに対して、tan'はこの態度を積極的に表す場合に用いられる。この態度は、tan'の直前の名詞句が人を表している場合には、その名詞句が表す人に向けられる。一方、tan'の直前の名詞句が人以外を表している場合にはこの態度は聞き手に向けられる。
上ソルブ語の態の体系を、再帰動詞の意味と振る舞いを中心にして検討・記述を試みる。文の表す論理的時間関係を考慮すれば、新たな分類が可能であることを指摘する。
本稿では、従来とは異なる視点から、デンマーク語におけるストレス・アクセントの体系化を試みる。デンマーク語のストレス・アクセントでは、主強勢のみが音韻論的に有意義であり、任意のアクセント単位における主強勢の位置が弁別的な機能を有する。単一の形態素からなる語は、その音節数にかかわらず、末尾音節、次末音節、前次末音節のいずれかに核を有する3種類の可能性のみを有し、三型アクセント体系をなす。
単一の形態素からなる語のアクセントに関連して、形態論的に複合的な語におけるアクセントに関しても若干の考察を行う。語根(ないし語幹)と接辞からなる語のアクセント核の位置は、基本的に接辞から規定が可能であり、核の移動の有無という視点から、接辞はstress-neutral affixesとstress-affecting affixesに大別される。さらに後者は、語根(語幹)の核が接辞に移るか否かという視点から、stress-attracting affixesとstress-shifting affixesに分けられる。
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