2005年度 授業内容

言語学専門分野(学部)および大学院との共通授業

科目名    言語学概論
担当教員   林 徹・西村 義樹 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 水2
 言語学の主要な研究対象(音、語、文法、意味、コミュニケーション)を取り上げ、それらを扱うための基本的な考え方と基礎的な概念について解説する。前半は音声学、音韻論、形態論を、後半は統語論、意味論、語用論を、それぞれ解説する予定である。
 特定の教科書は用いないが、参考文献は適宜紹介する。評価は平常点(出席重視)と試験によって行う。


科目名    音声学
担当教員   上野 善道 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 火3
 音声を正しく聞き取って書き取り、かつそれを発音できるようでなければ、未知の言語・方言の研究は一歩も進まないと言っても過言ではない。英語や日本語などのよく知られている言語でも、音声学を身につけていないと事実をきちんと観察できないものである。この授業では、音声につきその理論的な理解にとどまらず、実践的な理解をも得ることを狙いとし、具体的な目標を「国際音声字母」が使いこなせるようになることにおく。このため、通常の授業とはかなり異なる形態のものとなる。聞き取りと発音は毎時間当てられるものと思ってほしい。また、若いときほどマスターしやすいので、言語学専修課程の学生はできるだけ3年次に取ること。
 テキストは、風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健『言語学』第2版、東大出版会、2004(初版ではなく第2版)、および服部四郎『音声学』(岩波書店)を用いる。『言語学』は生協で各自購入。『音声学』は絶版なので別に考える。
 評価は、試験(筆記、聞き取り、発音を含む)により行なう。


科目名    言語学特殊講義 「日本語アクセント論」
担当教員   上野 善道 学期:  夏 2単位 曜日・時限 火4
 日本語のアクセントについて、私自身の考えを講義形式で述べる。日本語諸方言を広く見渡し、主要なタイプを網羅する予定。それを通してアクセントの捉え方を講ずる。
 受講に際して、予備知識は特に前提としない。授業中の質問やコメントはいつでも歓迎する。
 評価は、学期末に提出してもらうレポートにより行なう。
 なお、昨年度と同じ講義題目名になっているが、内容は異なるので、連続して取っても単位となる。


科目名    言語学演習 「音韻論」
担当教員   上野 善道 学期:  冬 2単位 曜日・時限 火4
 日本語を中心材料とした音韻論に関する論文で、英語ないし日本語で書かれたものを選び、演習形式で読みながら事実と理論の両面から批判的に検討する。具体的な割り当ては出席者を見てから決めるが、担当者は、割り当て箇所を要約し、論理展開と言語事実のチェックを行なってコメントを述べること。さらに、引用文献の1つについて、その内容を紹介・批判すること。上記の要件を満たしたハンドアウトは1週間前に用意する。担当者以外も、質問や批判、自分が知っている言語・方言からの発言などにより、積極的に参加すること。授業中に随時指名するので、担当以外の箇所も予習を怠らないこと。読む論文は講義の最初の時間に発表する。
 評価は、担当者としての発表と、学期末に提出してもらうレポートにより行なう。


科目名    比較言語学 (I)
担当教員   熊本 裕 学期:  夏 2単位 曜日・時限 月2
 Lyle Campbell, Historical Linguistics. An Introduction, Second Edition, Cambridge, MA: MIT Press 2004, を教材として、比較・歴史言語学の基本的な考え方について学ぶ。毎回学習した部分について、テーマを与えられて英語で1ページの要約を提出したものと、豊富な練習問題について解答を作成したものが平常点となる。これに加えて学期末に、英語で答える短答式の試験を実施する。


科目名    比較言語学 (II)
担当教員   熊本 裕 学期:  冬 2単位 曜日・時限 月2
 夏学期に続いてCampbellの教科書の後半を学習する。実施方法は夏学期と同じ。前年度までに夏学期のみを履修したものは、今年度の冬学期の単位を取得して、卒業に必要な4単位とすることができる。


科目名    言語学演習(Ⅰ) 「印欧語比較研究 (I)」
担当教員   熊本 裕  学期:  夏 2単位 曜日・時限 金2
 印欧語の音韻論の重要な部分を占める「喉音理論 (Laryngeal Theory)」は、その萌芽ともいうべきSaussure, Mémoire (1879)の理論が、1920-30年代に、新たに解読されたHittiteの研究によって一新された。夏学期は、この時代のいくつかの代表的な論文(主としてフランス語)を出発点に、現代の水準での集大成といえるManfred Mayrhofer, "Lautlehre (Segmentale Phonologie des Indogermanischen)" (=Indo-germanische Grammatik, Band I/2, Heidelberg, 1986)の当該部分(S. 121-150)を読む。


科目名    言語学演習(Ⅱ) 「印欧語比較研究 (Ⅱ)」
担当教員   熊本 裕 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金2
 冬学期には、印欧語の形態・統語論の領域で、最近取り上げられることの多い動詞のテンス・アスペクト・ムードの体系に関する論文を扱う。この分野では、多少の英語の論文を除けば、重要なものはほとんどドイツ語である。学期の初めに扱う論文のリストを配布する(ただし、英語の論文は、演習では各自すでに読んでいることを前提とする)。


科目名    印度語印度文学特殊講義  「イラン語文献学概説」
担当教員   熊本 裕 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 金4
 中央アジアのイラン人が東と西の文明を結びつける重要な役割を果たしたことは、マニ教徒が残したソグド語の物語にもっとも特徴的に現れている。本年度は、これらの説話と寓話を扱う。W. B. Henningの古典的な論文 "Sogdian Tales" (BSOAS 11/3,1945)で扱われた、ギリシア文化の影響を色濃く残したものから、W. Sundermann, Ein Manichäisch-soghdisches Parabelbuch (Berlin 1985)に出版された、大乗仏典(大般涅槃経など)の直接的影響が指摘されているものまで、可能な限り実際の写本の写真版を参照しながら読む。


科目名    原典を読む 「シルクロードの写本を読む」
担当教員   熊本 裕 学期:  冬 2単位 曜日・時限 月5
 各地の博物館の「シルクロード」に関する展示やテレビのシリーズ番組などで、遺跡や美術作品については目にする機会も多いが、古代から中世の中央アジアについての我々の知識に関してもっとも重要なのは、多くの場合それまで未知であった様々な言語で書かれた写本である。今回の授業ではこれらの写本を、写真(可能な場合はカラーで)に基づいて解説し、その言語がどのようにして解読されたのか、現存する資料ではどのような内容のものが知られているのか、を説明する。歴史的・文化的意義のみならず、それらの写本の言語学的な意義についても触れる予定である。


科目名    言語学演習「チュルク諸語研究:ユーラシアにおける言語接触の諸相」
担当教員   林 徹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 木2
 ユーラシアの広い範囲で話されるチュルク諸語(トルコ系諸言語)は常に周囲の言語からの影響を受けてきた。トルコ語以外のほとんどの言語の話し手は、大多数がチュルク語以外の言語の話し手でもある。長い間、このようなチュルク諸語の側面は、言語の基本的な特徴とは無関係の、いわば偶発的な現象であるとして、それぞれの言語の記述において周縁的な扱いを受けてきたが、近年ようやく注目を集めつつある。この演習では、チュルク諸語の言語接触に関する論考を読み、現時点での研究状況を確認するとともに、言語接触の研究が言語の記述にどのように貢献できるかについて考える。チュルク諸語についての予備知識は不要。チュルク諸語以外の言語に興味のある学生も歓迎する。受講者は1編の論文の要約を担当し、議論に参加することが求められる。評価はこれにより行う。


科目名    野外調査法演習「言語学のフィールドワーク入門」
担当教員   林 徹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 木3
 自分の母語以外の言語について、その言語の話し手の協力によりデータを集める方法を習得するのが目的である。前半では、受講者が分担してインタビューを担当し、質問の仕方、記録の取り方、データのまとめ方を実習する。後半では、受講者が各自テーマを決め、学内などで調査協力者を捜し調査を行い、調査の途中経過をそれぞれが発表する。この発表を基に、夏休みなどを利用してさらに調査を行い、その結果をレポートをまとめ、夏休み明けに提出する。音声学を既に受講したか、受講中であることが望ましい。なお、学期の途中に言語調査を行っている研究機関の見学を予定している。


科目名    言語学演習「認知文法研究(Ⅰ)」
担当教員   西村 義樹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 金3
 下記の書物を教科書にして、認知文法の言語理論における位置づけ、理論的基盤と特徴、この理論による重要な言語現象の具体的分析、等を詳しく検討する。テーマによっては他の文献も併用する。評価は平常点とレポートによる。

教科書:R. W. Langacker (1990) Concept, Image, and Symbol. Mouton de Gruyter.
参考書:J. R. Taylor (2002) Cognitive Grammar. Oxford University Press.


科目名    言語学演習「認知文法研究(Ⅱ)」
担当教員   西村 義樹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金3
 下記の書物を教科書にして、認知文法の言語理論における位置づけ、理論的基盤と特徴、この理論による重要な言語現象の具体的分析、等を詳しく検討する。テーマによっては他の文献も併用する。評価は平常点とレポートによる。

教科書:R. W. Langacker (1990) Concept, Image, and Symbol. Mouton de Gruyter.
参考書:J. R. Taylor (2002) Cognitive Grammar. Oxford University Press.


科目名    言語学特殊講義「文法と意味」
担当教員   西村 義樹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 木5
 文法と意味との関係は言語理論にとっての根本問題の一つであるが、認知言語学はこの問題に対する新しい視点を提供してくれる理論である。この授業では、先行理論との比較、この理論による日常的な言語現象の具体的な分析とそれを可能にする基本的な概念や道具立ての紹介などを通して、認知言語学への導入を試みる。特定の教科書は用いないが、参考文献は適宜紹介する。評価は平常点(出席重視)とレポートによる。


科目名    言語学特殊講義「日本語文法の諸問題」
担当教員   菊地 康人 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 水3
 個々の語の用法や構文の成立条件を分析し、正確にとらえる(過不足なく記述する)ことは、どの言語でも意外に難しいものだが、日本語では助詞・助動詞・補助動詞・評価副詞等について特にそれが顕著である。私の授業では例年そのような話題を幾つか取り上げ、ことばの魅力と奥深さを味わいながら、ことばを分析するセンスを磨く(できれば理論化につなげる)ことを目的としているが、本年度も、具体例を変えて、こうした趣旨の授業を行う。継続する受講者に配慮して、最近取り上げた例(「さえ・でさえ」、「だけ・ばかり」、接続助詞「し」、評価副詞「せっかく」「どうせ」など)は避けるが、この種の例を、学生諸君とも相談して幾つか選び、分析していく(たとえば「のだ」、「から・ので」、受身の分析などが考えられるが、他にもいろいろな可能性がある)。日本語教育への視点や、一文を超えたテキストのレベルの視点も適宜加えたい。
 講義形式だが、学生諸君からの発言を歓迎し、ともに考えていく授業にしていきたい。予備知識は多くを求めないが、十分に出席することと、自分で言語現象を観察・分析する意欲をもつことは、受講の必須条件である。教科書は特に使わない予定。


科目名    言語学特殊講義 「機能的構文論研究」
担当教員   高見 健一 学期:  夏 2単位 曜日・時限 集中
 この授業では、言語研究を行なう際、文の構造だけでなく、文の意味や機能、情報構造や談話等を考慮することがいかに重要であるかを、英語と日本語の様々な現象を通して明らかにする。受身文、使役文、関係節、There 構文、移動現象、「〜ている」構文、結果構文などを考察し、生成文法のアプローチ、語彙意味論的アプローチ、そして機能的構文論のアプローチを比較検討する。そして、これらの構文の適格性を説明する上で、どのようなアプローチが多くの例をもっとも的確に捉えられるかを議論しながら授業を進める。また、近年盛んに議論されている非対格性/非能格性についても考察する。授業で次の本をテキストとして使用する。
高見健一 (2001) 『日英語の機能的構文分析』(鳳書房)


科目名    言語学特殊講義 「アフリカ・ナイル諸語の通時的研究」
担当教員   稗田 乃 学期:  冬 2単位 曜日・時限 集中
 東アフリカにナイル諸語と呼ばれる同系統と考えられる一群の言語が話されている。ナイル祖語の再構成を試みる。従来のナイル祖語を再構成する試みは、形態論を考慮することなく、ただ音韻対応から音韻体系の再構成を試みた。しかも、その音韻対応は不適切なものであった。講義においては、形態論を重視した再構成が実験される。受講生は、用意された資料を用いて、再構成の方法を学び、検証する。講義は、一方的なものではない。受講生は、参加することが要求される。


科目名    言語学特殊講義「語の意味論」
担当教員   山田 進 学期:  冬 2単位 曜日・時限 水4
 言語が意味を表現し伝達することを目的として組織されていることは言うまでもない。言語の意味の性質を明らかにし、具体的な言語表現における意味の姿をとらえる枠組みを設定することが、意味研究の課題(の一部)である。この講義では、まず、言語の意味を考えるための基本的事項を概観し、各種意味論の特徴および問題点を取り上げて考察する。次に、特に語(単語)の意味に焦点をあててその諸相を探る。余裕があれば、日本語の具体的な語の意味分析の演習を行いたい。
 テキストは使わず、適宜資料を配付する。疑問・質問・提言など、受講者からの積極的な発言を期待する。評価は、授業への参加度(出席・発言)、および学期末の試験ないしレポートにもとづいて行う。


科目名    言語学特殊講義「意味論と語用論の接点」
担当教員   西山 佑司 学期:  冬 2単位 曜日・時限 木3
 われわれは言葉を用いて情報を伝達するが、そこで用いられた言葉の意味は、伝達内容という点ではきわめて不完全である。人間は、なぜかくも不完全な言葉を用いて意図を伝達できるのか、言葉の意味と言葉によって伝達される内容との関係は何かを論じる。とくに、言葉によって明示的に伝達される部分と非明示的に伝達される部分の区別に焦点をあて、メタファーやアイロニーなどの解釈はいかにして生じるかという問題を現代語用理論として注目されている関連性理論 (Relevance Theory) の立場から論じる。当方でハンドアウトを用意するが、同時に関連する論文(英文)を読んでいただく。


科目名    言語学特殊講義 「社会言語学」
担当教員   荻野 綱男 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金4
 社会言語学は、言語行動研究であり、人々がどのようにことばを使っているのかを明らかにする。  WWW は、現在、書かれた記録として過去に例のない規模の世界最大の言語資料になった。これを言語研究の資料として活用したい。WWW を利用するには、検索エンジンの知識も必要だが、それとともに、WWW を資料として具体的に言語および言語行動について研究しながら WWW の性格について把握しなければならない。
 この授業では、現代日本語の言語行動研究の一部として WWW を利用したさまざまな研究について検討する。また、ネットを利用した質問調査法についても触れることにし、そのような新しい研究方法が言語(行動)研究に何をもたらすのか、考えてみたい。


言語学専門分野(大学院)

科目名    演習 「言語学演習」
担当教員   上野・熊本・林・西村・菊地・福井 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 月3
 大学院生が研究発表をし、それを教員や他の大学院生が批判・検討する.大学院生は原則として発表を1回行い、他の発表に対するコメンテータを2回勤めなければならない。


科目名    特殊研究 「韓国語調査法」
担当教員   福井 玲 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 木4
 この授業は、韓国朝鮮語の歴史的研究のために必要な基礎的訓練としての調査法を扱う。前期は、主として朝鮮語史の上で、未解決の問題として残されている具体的な事例をいくつか設定し、それに関わる資料や先行研究の収集と、その解決のためにはどのような研究上の枠組みが必要であるかを学びながら、参加者諸君と討論を重ねることによってその解決も模索する。後期は参加者の側から課題を提出してもらい、それに関して同様に議論を進めていく。資料は、随時プリントとして配布する。


科目名    特殊研究 「高次脳機能生理・病態学」
担当教員   高山 吉弘 学期:  夏 2単位 曜日・時限 火3
 高次脳機能に対する取り組みは、医学・心理学・工学と極めて多彩な学際的アプローチがとられている現況である。本講義では、臨床の場で遭遇する脳損傷者を対象にして研究される高次脳機能障害学の立場から、脳損傷による高次脳機能障害の症候と病巣、神経心理学的メカニズムにつき最近の理論などにつき概説する。また、機能的MRI、PETなどを用いて、機能と脳の関連につき検討する試みがなされているが、高次脳機能に関しても知見が集積されてきている。それらを用いた、高次脳機能の生理学的研究についても最近の知見をもとに述べる。データ処理も実際に実習する予定である。


科目名    特殊研究 「音響音声学」
担当教員   広瀬 啓吉 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 水3
 夏学期は特に音響音声学の観点から音声生成に関して輪講する。(どのようにして音声のスペクトルが得られるのかなど。)冬学期はLPC分析、テキスト音声合成、隠れマルコフモデル、韻律の処理など、音声分析・合成・認識等の工学的な側面に関して講義を行う。最後の2回程度の時間を計算機を利用した音声処理に当てる予定であるが、講義の進行具合による。(進め方については、初回の講義の際に相談する。)



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