2006年度 授業内容

言語学専門分野(学部)および大学院との共通授業

科目名    言語学概論
担当教員   林 徹・西村 義樹 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 水2
 言語学の主要な研究対象(音、語、文法、意味、コミュニケーション)を取り上げ、それらを扱うための基本的な考え方と基礎的な概念について解説する。前半は音声学、音韻論、形態論を、後半は統語論、意味論、語用論を、それぞれ解説する予定である。
 特定の教科書は用いないが、参考文献は適宜紹介する。評価は平常点(出席重視)と試験によって行う。


科目名    音声学
担当教員   上野 善道 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 火3
 音声を正しく聞き取って書き取り、かつそれを発音できるようでなければ、未知の言語・方言の研究は一歩も進まないと言っても過言ではない。英語や日本語などのよく知られている言語でも、音声学を身につけていないと事実をきちんと観察できないものである。この授業では、音声につきその理論的な理解にとどまらず、実践的な理解をも得ることを狙いとし、具体的な目標を「国際音声字母」が使いこなせるようになることにおく。このため、通常の授業とはかなり異なる形態のものとなる。聞き取りと発音は毎時間当てられるものと思ってほしい。また、若いときほどマスターしやすいので、言語学専修課程の学生はできるだけ3年次に取ること。
 テキストは、風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健『言語学』第2版、東大出版会、2004(初版ではなく第2版)、および服部四郎『音声学』(岩波書店)を用いる。『言語学』は生協で各自購入。『音声学』は絶版なので別に考える。
 評価は、試験(筆記、聞き取り、発音を含む)により行なう。


科目名    言語学特殊講義 「日本語アクセント論 Ⅲ」
担当教員   上野 善道 学期:  夏 2単位 曜日・時限 火4
 日本語のアクセントについて、私自身の考えを講義形式で述べる。日本語諸方言を広く見渡し、主要なタイプを網羅する形で講義を続けているが,今期はそのⅢとして,北陸方言,特に金沢方言を中心に,珠洲方言や富山方言のアクセントについて述べる。その後,京都方言を主な材料としながら,関西方言(中央式方言)を扱う予定。講義の途中で,随時,これら以外の関連方言の現象にも触れる。
 受講に際して、予備知識は特に前提としない。授業中の質問やコメントはいつでも歓迎する。
 評価は、学期末に提出してもらうレポートにより行なう。
 なお、昨年度と同じ講義題目名になっているが、内容は異なるので、連続して取っても単位となる。


科目名    言語学特殊講義 「日本語アクセント論 Ⅳ」
担当教員   上野 善道 学期:  冬 2単位 曜日・時限 火4
 日本語のアクセントについて、私自身の考えを講義形式で述べる。日本語諸方言を広く見渡し、主要なタイプを網羅する形で講義を続けているが,今期はそのⅣとして,瀬戸内海の伊吹島方言を中心に述べる。後半は,九州の2型アクセントの諸方言を扱う。講義の途中で,随時,これら以外の関連方言の現象にも触れる。
 受講に際して、予備知識は特に前提としない。授業中の質問やコメントはいつでも歓迎する。
 評価は、学期末に提出してもらうレポートにより行なう。
 なお、一連の講義の続講であるが、内容は異なるので、連続して取っても単位となる。


科目名    比較言語学 (I)
担当教員   熊本 裕 学期:  夏 2単位 曜日・時限 月2
 R. L. Trask, Historical Linguistics, London 1996 を教材として、比較・歴史言語学の基本的な考え方について学ぶ。毎回学習した部分について、テーマを与えられて英語で1ページの要約を提出したものと、豊富な練習問題について解答を作成したものが平常点となる。これに加えて学期末に、英語で答える短答式の試験を実施する。


科目名    比較言語学 (Ⅱ)
担当教員   熊本 裕 学期:  冬 2単位 曜日・時限 月2
 夏学期に続いてTraskの教科書の後半を学習する。実施方法は夏学期と同じ。前年度までに夏学期のみを履修したものは、今年度の冬学期の単位を取得して、卒業に必要な4単位とすることができる。


科目名    言語学演習(Ⅰ) 「印欧語比較研究 (I)」
担当教員   熊本 裕  学期:  夏 2単位 曜日・時限 金2
 印欧語比較言語学にとって最も重要であり続けるインド・イラン語派について、第一人者による概説Manfred Mayrhofer, "L'indo-iranien",(F. Bader ed., Langues indo-européennes, Paris 20022, 101-122)を読んだ後、古インド語(サンスクリット)のあらゆる言語学的な問題を簡潔に提示したL. Renou, "Introduction générale" (Jakob Wackernagel und Albert Debrunner, Altindische Grammatik, Göttingen 1896-1954の新装版(1957)に付された序論)を読む。


科目名    言語学演習(Ⅱ) 「印欧語比較研究 (Ⅱ)」
担当教員   熊本 裕 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金2
 古インド語(サンスクリット)の動詞のtenseとmoodについて、共時的な機能分析を通じて画期的な新しい見解を提示し、インド・ヨーロッパ祖語の動詞体系の解釈についても大きな影響を与えたKarl Hoffmann, Der Injunktiv im Veda, Heidelberg 1967の主要な部分を読む。


科目名    印度語印度文学特殊講義  「イラン語文献学概説」
担当教員   熊本 裕 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 金4
 夏学期には、中央アジアのイラン語文献の中で、仏教文献・マニ教文献と並んで重要なキリスト教文献について、文字史的にも重要な「Pahlavi訳詩編」といくつかの代表的なキリスト教ソグド語テクストを読む。
(参考文献) Ian Gillman and Hans-Joachim Klimkeit, Christians in Asia before 1500, Richmond, UK/Ann Arbor, MI 1999; Samuel Hugh Moffett, A History of Christianity in Asia. Volume I: Beginning to 1500, Maryknoll, NY. 1998など。
冬学期には、Avestaの一部をPahlavi訳注と対照しながら読む。
(参考文献) Alberto Cantera, Studien zur Pahlavi-Übersetzung des Avesta, Wiesbaden 2004.


科目名    言語学演習「チュルク諸語研究:ユーラシアにおける言語接触の観点から(I)」
担当教員   林 徹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 木2
 チュルク諸語(トルコ系諸言語)とは、ユーラシアの広い範囲で話される、トルコ語、ウズベク語、ウイグル語、カザフ語などの言語の総称である。これらの言語は常に周囲の言語からの影響を受け、トルコ語以外のほとんどの言語の話し手はチュルク語以外の言語の話し手でもある。このようなチュルク諸語の側面は、言語の基本的な特徴とは無関係であるとして、それぞれの言語の記述においては周縁的な扱いを受けてきたが、近年ようやく注目を集めつつある。この演習では、後期にチュルク諸語の言語接触に関する論考を読むための準備として、言語接触に関する基本的文献を読む。受講者はそれぞれ文献の要約を担当し、議論に参加することが求められる。評価はこれにより行う。チュルク諸語についての知識は不要。


科目名    言語学演習「チュルク諸語研究:ユーラシアにおける言語接触の観点から(II)」
担当教員   林 徹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 木2
 チュルク諸語についての概説の後に、チュルク諸語の言語接触に関する論考を読み、現時点での研究状況を確認するとともに、言語接触の研究が言語の記述にどのように貢献できるかについて考える。受講者は1編の論文の要約を担当し、議論に参加することが求められる。評価はこれにより行う。チュルク諸語についての知識は不要。主なテーマ:多言語使用とcode-switching/code-mixing、接触による言語変化、集団内言語変種の発達、外来語彙と純化運動、移民共同体における言語使用。


科目名    野外調査法演習「野外調査法 (I)」
担当教員   林 徹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 木3
 自分の母語以外の言語について、その言語の話し手に協力してもらい言語データを集める方法を習得するのが目的である。あらかじめ用意された調査項目に従ってある言語の話し手にインタビューし語彙に関するデータを集める。受講者は分担してインタビューを担当し、回答を記録する。最後に各自の記録をまとめると、ささやかな語彙集ができあがるはずである。受講者は音声学を既に受講したか、受講中であることが望ましい。なお、調査する言語について予備知識がないほうがいいので、どんな言語の調査をするかは開講日まで知らせない。評価はインタビューへの貢献度と提出された調査記録とによって行う。


科目名    野外調査法演習「野外調査法 (Ⅱ)」
担当教員   林 徹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 木3
 前期に作った語彙集を基に形態分析を行う。とはいえ、それには前期の語彙集はまったく不十分だろうから、さらに必要なデータを母語の話し手にインタビューしながら集めることになる。受講者は各自自分のテーマを持って参加することが望ましい。記録を取るだけでなく、どんな情報が必要か、それにはどんな質問をしなければならないかを常に考えながらのインタビューになる。結果をレポートをまとめ、冬休み明けに提出する。評価はインタビューへの貢献度と提出されたレポートによって行う。


科目名    言語学特殊講義「言語調査入門」
担当教員   林 徹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 木5
私たちは日常書かれた姿の言語に接することが多いため、それが言語の一般的な姿だと思い込んでいる。しかし、書かれた姿は言語の一面を反映しているにすぎない。また、書かれることのない言語は世界に多数ある。従って、私たちがある言語について深く知ろうとするとき、その言語の話し手(母語話者)に直接質問しつつ調査することが不可欠になる。しかし、母語話者は普通自分の言語を意識して話していないため、母語話者の言語知識にアクセスするには、さまざまな工夫が必要になる。また、言語に対する私たちの興味は千差万別だ。知りたいことが違えば調査の方法も違ってくる。この講義では、担当教員がこれまで行った言語調査(必ずしもうまくいった調査ばかりではない)を毎回ひとつずつ紹介しながら、オーソドックスな言語調査について解説する。なお、例としてあげる言語は、トルコ語などのチュルク系諸言語である。


科目名    言語学特殊講義「認知文法入門 (I)」
担当教員   西村 義樹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 金4
 下記の書物を教科書にして、認知文法への導入を試みる。重要なテーマについては他の文献も併用する。教科書以外の文献のマスター・コピーはこちらで用意する。評価は平常点とレポートによる。>
 教科書: David Lee (2002) Cognitive Linguistics: An Introduction. Oxford University Press.


科目名    言語学特殊講義「認知文法入門 (Ⅱ)」
担当教員   西村 義樹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金4
 下記の書物を教科書にして、認知文法への導入を試みる。重要なテーマについては他の文献も併用する。教科書以外の文献のマスター・コピーはこちらで用意する。評価は平常点とレポートによる。>
 教科書: David Lee (2002) Cognitive Linguistics: An Introduction. Oxford University Press.


科目名    言語学演習「認知文法研究 (I)」
担当教員   西村 義樹 学期:  夏 2単位 曜日・時限 金5
 下記の書物を教科書にして、認知文法の言語理論における位置づけ、理論的基盤と特徴、この理論による重要な言語現象の具体的分析、等を詳しく検討する。テーマによっては他の文献も併用する。教科書以外の文献のマスター・コピーはこちらで用意する。評価は平常点とレポートによる。

教科書:J. R. Taylor (2002) Cognitive Grammar. Oxford University Press.


科目名    言語学演習「認知文法研究 (Ⅱ)」
担当教員   西村 義樹 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金5
 下記の書物を教科書にして、認知文法の言語理論における位置づけ、理論的基盤と特徴、この理論による重要な言語現象の具体的分析、等を詳しく検討する。テーマによっては他の文献も併用する。教科書以外の文献のマスター・コピーはこちらで用意する。評価は平常点とレポートによる。

教科書:J. R. Taylor (2002) Cognitive Grammar. Oxford University Press.


科目名    言語学特殊講義 「日本語文法研究−言語学として、語学教育として−」
担当教員   菊地 康人 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 火2
 個々の語の用法や構文の成立条件を分析し、正確にとらえる(過不足なく記述する)ことは、どの言語でも意外に難しいものだが、日本語では助詞・助動詞・補助動詞・評価副詞等について特にそれが顕著である(たとえば「は」と「が」はどう違うか)。私の授業では例年そのような話題を幾つか取り上げ、ことばの魅力と奥深さを味わいながら、ことばを分析するセンスを磨く(できれば理論化につなげる)ことを目的としているが、本年度も、具体例を変えて、こうした趣旨の授業を行う。例としては、「のだ」、受身、その他いろいろな可能性を考えているが、学生諸君の関心も考慮に入れて決める。
 あわせて、言語学としての文法研究と、語学教育(日本語を母語としない人に対する日本語教育)に資するための文法研究とでは、違う観点が要求されるところがあるので、これについても触れ、後者のあり方を考えることも、目標の一つとする。
 講義形式だが、学生諸君からの発言を歓迎し、ともに考えていく授業にしていきたい。予備知識は多くを求めないが、十分に出席することと、自分で言語現象を観察・分析する意欲をもつことは、受講の必須条件である。教科書は特に使わない予定。


科目名    言語学特殊講義  「生態心理学から見た言語」
担当教員   本多 啓 学期:  夏 2単位 曜日・時限 月4
 言語と認知の関係について、生態心理学(アフォーダンス理論)の観点から検討する。生態心理学にの諸概念については授業で解説するので予備知識は必要としない。授業では、日本語と英語の諸現象を取り上げる。具体的には、言語における「自己」の表現機構と視点論、英語の中間構文・主体移動表現・知覚動詞構文、時間表現と空間表現の相互浸透、「する」言語としての英語・「なる」言語としての日本語と「自己」の関係、可能表現、接続助詞「から」の文法化と言語行為の相互行為性の関係、現象描写文と共同注意の関係、などについて触れる予定である。
授業は講義形式だが、授業内小課題を実施することがある。教科書は指定しないが、講義内容は『アフォーダンスの認知意味論』(本多啓、東京大学出版会)に基づいたものになる予定である。成績評価は(確定受講者数によって変わる可能性もあるが)授業内小課題と期末試験による予定。


科目名    言語学特殊講義  「敬語論とポライトネス論」
担当教員   滝浦 真人 学期:  夏 2単位 曜日・時限 火5
 「ポライトネス」の視界の中で敬語を捉え直し、敬語論とポライトネス論の接続を試みる。
 明治期に始まった日本の敬語論には、敬語を〈敬意〉の表現とみる立場と、人間関係の〈関係認識〉の表現とみる立場が存在した。一貫して主流だったのは前者だが、〈敬意〉概念の理論的難点と〈関係認識〉概念の可能性については、ほとんど検討されてこなかった。
 本講義では、敬語論の再検討を、Brown & Levinson のポライトネス理論を参照しながらおこなってゆく。彼らのポライトネス理論は、人類学・社会学的基盤と語用論的基盤に支えられた枠組の普遍性によって、対人的そして語用論的な〈距離〉の理論として読むことができる。その中に置き入れたとき、〈距離〉の表現としての敬語という像が捉えられ、そこから敬語の語用論の可能性を開くことができるはずである。
 教科書: 滝浦真人(2005)『日本の敬語論 ——ポライトネス理論からの再検討』大修館書店
 参考書: Brown P. & Levinson S. (1987) Politeness: Some Universals in Language Usage.   Cambridge U.P.


科目名    言語学特殊講義  「言語人類学」
担当教員   井上 京子 学期:  夏 2単位 曜日・時限 金3
 言語人類学とは、言語学の成果と方法をもとに、ことばと文化の相関性を探り、ことばを通して文化を読み解こうと試みる学問である。例えば、環境のカテゴリー化と表裏一体である言語を研究することは、人間の認識体系を発見し、当の文化に固有の行動様式を探る重要な手がかりとなる。今日、世界中で異文化接触が進む中、言語と文化の切り離しがたい結びつきはますます強くなってきており、そうした状況を視野に入れ、多言語・多文化主義の広がり、グローバル化社会における危機言語の問題などに関し、我々が今後どのようなスタンスで対応していったら良いのかをここで分析、考察してもらいたい。
 本講座では、まず言語の基礎知識を概観し、フィールドワークの理論と方法論を押さえ、それをもとに、言語の果たす役割をさまざまな文化と民族との関係において検証していく予定である。テキストには William A. Foley (1997) Anthropological Linguistics, Blackwellを使用する。


科目名    言語学特殊講義  「インド・アーリア語学の諸問題」
担当教員   小林 正人 学期:  冬 2単位 曜日・時限 金3
 この授業では、サンスクリットをはじめとするインド・アーリア系言語がインド・イラン祖語から分化してから、南アジアに広がって行く過程で、他の印欧語族には見られない特徴をどのように形成していったかを、歴史言語学や言語圏の視点から考察する。前半ではまず、ヴェーダ期サンスクリットなど初期インド・アーリア語の音韻や文法の特異な点を、印欧語族の諸言語と比較しながら論じる。それに続いて後半では、能格の発生や語彙的アクセントの消滅など、中期・新期インド・アーリア語に至るまでの重要な文法上の改新をとり上げる。その際、必要に応じてドラビダ語族、ムンダ語族など他の南アジアの言語との比較も行う。
インド・アーリア系言語についての予備知識は必要としない。授業の進め方や扱う内容の詳細は、受講者の関心に応じて調整する。教材はハンドアウトや論文をプリントで配布する。


言語学専門分野(大学院)

科目名    演習 「言語学演習」
担当教員   上野・熊本・林・西村・菊地・福井 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 月3
 大学院生が研究発表をし、それを教員や他の大学院生が批判・検討する.大学院生は原則として発表を1回行い、他の発表に対するコメンテータを2回勤めなければならない。


科目名    特殊研究 「音響音声学」
担当教員   広瀬 啓吉 学期:  夏冬 4単位 曜日・時限 水3
 夏学期は特に音響音声学の観点から音声生成に関して輪講する。(どのようにして音声のスペクトルが得られるのかなど。)冬学期はLPC分析、テキスト音声合成、隠れマルコフモデル、韻律の処理など、音声分析・合成・認識等の工学的な側面に関して講義を行う。最後の2回程度の時間を計算機を利用した音声処理に当てる予定であるが、講義の進行具合による。(進め方については、初回の講義の際に相談する。)



[時間割] 「時間割」に戻る

[Back to Home] トップページに戻る