平成27(2015)年度夏学期の授業

平成27(2015)年度の時間割

月2 福井 玲 「音声学2」

講義題目
(Course Title)
音声学(2)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
音声学(1)で習得した基礎知識と実技をもとにして,日本語母語話者には比較的なじみの薄い,肺気流以外の しくみによって作られる音(放出音,入破音,吸着音)や二重調音などの発音のしくみを学び,実際に発音できるように訓練する。また,音の長さ,強さ,高さ を用いたいわゆる超分節素(suprasegmentals)についても,日本語など身近な言語の実例をもとにして学習する。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
気流機構、放出音、入破音、吸着音、二重調音、超分節素
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
当初は,音声学の基礎がどれくらい身についているかを確認し,そのあとで,肺気流以外のしくみで発せられる さまざまな音の発音を説明し,各自実際に発音できるように訓練する。あわせて,それらに関連して日本語にはない音の実例も紹介していく。超分節素に関して は,日本語やその周辺の言語における実例の観察を行いながら,重要な部分については,聞き取りや発音ができるようにする訓練を行う。
授業の方法
(Teaching Methods)
講義の他に,発音および聞き取りの訓練を随時行う。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
平常点と実技を含む試験による。
教科書
(Required Textbook)
教材はプリントとして随時配布する。
参考書は授業開始時に説明する。
参考書
(Reference Books)
風間喜代三他『言語学 第2版』東京大学出版会(上野善道「第7章 音の構造」)
斎藤純男『日本語音声学入門 改訂版』三省堂
服部四郎『音声学』岩波書店
P. Ladefoged. A Course in Phonetics. Thomson Wadsworth.
P. Ladefoged. Vowels and Consonants. Blackwell Publishing.
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
原則として,音声学(1)履修者を対象とする。

月5 赤堀 仁美 「日本手話」

講義題目
(Course Title)
日本手話研究(1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
自然言語のひとつであり、ろう者の母語である日本手話について、その実技の初歩を学ぶ。日本手話のネイティ ブであるろう者が直接教授法の一つであるナチュラル・アプローチによってその初歩を指導する。シラバスは基本的にトピック・シラバスを採用し、日本手話で 自己紹介(生い立ちと日常生活の簡単な紹介)ができることを目標とする。音韻と基本文法をめざす。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
1.名前・年齢 2.家族 3.出身地・現住所 4.職業 5.略歴 6.タイムテーブル 7.通学 8.カレンダー 9.食習慣 10.嗜好品 11.スポーツ 12.財布の中身
●ミニテスト(まとめ)●ミニ講義「日本手話のしくみ」「ろう文化」
●レポート「日本手話と音声言語との違いについて」
授業の方法
(Teaching Methods)
直接教授法による。授業中の会話はすべて日本手話を用いる。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
授業への出席状況(80%)
ミニテスト(10%)
レポート(10%)
教科書
(Required Textbook)
岡典栄・赤堀仁美『<文法が基礎からわかる>日本手話のしくみ』大修館書店 2011年
参考書
(Reference Books)
・佐々木倫子『ろう者から見た「多文化共生」もうひとつの言語的マイノリティ』
ココ出版 2012年
・木村晴美『日本手話と日本語対応手話(手指日本語』生活書院 2011年
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
手話は視覚言語であるあめ、必要な場合は眼鏡等を準備すること。

月6 市田 泰弘 「日本手話:文法と意味」

講義題目
(Course Title)
日本手話:文法と意味
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
この講義では、日本に住むろう者の母語である日本手話の基本的な文法と意味について解説する。日本手話の文 法には音声言語に共通する側面も多いが、本講義ではおもに手話言語特有の構造から生じる特徴を中心に述べる。また、文法現象は多岐に渡り、さまざまなレベ ルのものが混在するが、便宜上、言語構造として小さい単位から大きい単位へと話を進める。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
手話言語、日本手話、ろう者、デフコミュニティ、マイノリティ、バイリンガリズム、ろう文化、抑圧、言語権、音韻、認知言語学、事象構造、格、能格言語、活格言語、逆行、動詞の一致、否定、命令、疑問、イントネーション
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
①CL構文(classifier construction)とフローズン語彙(frozen lexicon)
目に見える事象と目に見えない事象を区別し、異なる形態で記述する。【アスペクト】
②操作CL(handling classifier)と実体CL(entity classifier)
目に見える事象は、さらにヒトの行為とモノの変化に区別され、異なる形態で記述される。【自動詞と他動詞、動詞連続構文】
③行動ロールシフト(role shift; constructed action)
話者の身体は行為者や認識者の身体に写像される。【再帰形、受動態】
④非手指標識(non-manual markers)としての顔の表情(facial expressions)
顔の表情は目のふるまい(eye behavior)と口型(mouth gesture)からなり、前者はヒトの認識のあり方を、後者はモノの様態を表す。【モダリティ、アスペクト】
⑤非手指標識(non-manual markers)としての頭の動き/位置(head movements/positions)
頭の動きと位置が、文型と複文構造を標示する。【発話行為、話題化、分裂文、従属節、補文節、関係節】
⑥引用ロールシフト(direct quotation)と節連鎖構文の文法化
虚構的な引用と頭の動きによる時間経過表現の組み合わせによる節連鎖構文が文法化し、さまざまな機能を果たす。【使役構文、結果構文、発見構文、想起構文、譲歩構文、受益・被害】
⑦空間利用(use of space)
話者の身体と空間内の任意の位置との相対的な関係が、ヒトとモノの心理的社会的関係に写像される。
授業の方法
(Teaching Methods)
講義による。予習復習としてインターネットを介した動画閲覧を課す予定である。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
講義ごとに提出する課題レポートによる。
教科書
(Required Textbook)
参考書
(Reference Books)
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
言語学に関する基礎的な知識を身につけていることが望ましい。日本手話の実技を過去に、あるいは平行して履修していることが望ましいが、必須ではない。
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
http://slling.net

火2 菊地 康人 「日本語を見つめる(1)―言語学と日本語教育の目で―」

講義題目
(Course Title)
日本語を見つめる-言語学と日本語教育の目で-(1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
 知っているつもりでいる日本語を改めてしっかり見つめ直すと,さまざまな気づきがある。本講では,日本語 のいくつかの具体的な現象(主に文法・意味論・語用論的な現象)をとりあげ,受講者諸君とともに,愉しみながら,それを見つめて(=観察・分析して)い く。〈ことばを観察・分析する目や感性〉を養ってもらうことと,〈ことばの魅力・難しさ・奥深さ〉を具体的なレベルで(いやというほど?)感じてもらうこ とが,本講の目標・趣旨である。
その際,「言語学・日本語学」の目と,日本語を母語としない人に日本語を教える「日本語教育」の目(また,日本 語を学習する学習者の目)を,ともに採り入れる。本講の担当者は,言語学・日本語学の研究者であるとともに,本学日本語教育センターで長年留学生に最初級 から最上級までの日本語を教えており,その経験を踏まえて「日本語学」と「日本語教育」とを有機的に連携させる授業を提供したい。具体的な題材を例に「日 本語教育」とはどういうものかを紹介することも,本講の一つの趣旨である。
例年このような趣旨の授業を行っているが,今年度もまた,具体的な テーマを変えて(今年度からは,セメスターごとに独立した授業として,(1)と(2)に分けて)開講する。各セメスターでとりあげる具体的な題材(テー マ)は,受講者諸君とも相談した上で決めるが,担当者の素案としては,連体修飾,「は」vs.「が」,補助動詞,モダリティ系の諸表現その他を考えてお り,この一部を(1)で,一部を(2)でと,振り分けることになろう。受講者の希望等によっては、他の可能性もあるが,継続受講者に配慮して,昨年度とは 重複しないようにする。
また,「言語学・日本語学系の内容」と「日本語教育系の内容」の割合についても,セメスターごとに。受講者の希望や状況 を参照した上で決めるが,担当者の当面の計画としては,前半の(1)では,どちらかといえば「言語学・日本語学系の内容」を主とし,「日本語教育系の内 容」を適宜添える予定でいる。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
日本語、日本語教育
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
授業の方法
(Teaching Methods)
講義形式を主としつつも,学生諸君からの発言を歓迎し,ディスカッションをとりいれ,ともに考えていく授業にしたい。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
期末レポート,出席,授業参加・貢献度
教科書
(Required Textbook)
参考書
(Reference Books)
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
予備知識は特に求めないが,十分に出席することと,自分でことばを観察・分析する意欲を強くもつことは,受講の必須条件である。
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
その他
(Others)
日本語学習用の教科書を指定し,それを参照する形で授業を進める可能性もあるが,この点についても諸君と相談した上で決めたい。

火3 林 徹、西村 義樹 「言語研究の諸問題」

講義題目
(Course Title)
言語研究の諸問題
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
個別言語の研究とは、得られた言語データをより一般的なかたちで説明すること、そしてもし可能ならば、まだ 得られていない言語データについても、それがどんな姿をしているはずかを予測することであろう。複雑な作業だが、すべての分析は、データを収集し、変形 し、分類し、比較し、数えることから始まる。本演習では、こうした基本作業が先行研究においてどのようにおこなわれているかを確認しつつ、それぞれの作業 をひとつひとつ確認した後に、それらの作業の結果を説明に効果的に結びつける方法について検討する。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
言語データ、分類、比較、表示
[外国語用]
linguistic data, categorization, comparison, representation
授業計画
(Schedule)
履修者は各自1点ずつ論文を担当し、その分析方法や分析上の問題点について報告する。担当する論文は、自分が計画している論文の草稿原稿でもかまわない。具体的な計画については、初回の授業で示す。
授業の方法
(Teaching Methods)
履修者は最低1回報告をおこなうとともに、毎回の議論に参加する。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
報告、レポート、議論への参加の度合いによりおこなう。
教科書
(Required Textbook)
なし。
参考書
(Reference Books)
授業において適宜紹介する。
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
基本的な言語学の知識があることを前提とする。

火4 西村 義樹 「認知文法入門」

講義題目
(Course Title)
認知文法入門
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
認知文法(あるいは認知言語学一般)の基本的な考え方やこの理論の観点からの具体的な言語現象の分析手法を 学ぶ。比較的読みやすい論文や本(英語または日本語)の一部を用いる予定。授業で扱う文献を全て読み通すことが要求される。文献のマスター・コピーはこち らで用意する。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
cognitive grammar、the symbolic view of grammar、conceptual semantics、grammatical constructions、the lexicon-grammar continuum
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
授業の方法
(Teaching Methods)
講義と発表の組み合わせ
成績評価方法
(Method of Evaluation)
出席、授業中の発表、学期中および学期末のレポート
教科書
(Required Textbook)
参考書
(Reference Books)
授業中に指示する。

火5 西村義樹 「認知文法研究(1)」

講義題目
(Course Title)
認知文法研究(1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
言語学上の根本問題や重要な言語現象を認知文法の観点から考察することを通して、認知文法の特徴と妥当性を検討する。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
cognitive grammar、 theoretical foundations、 descriptive application
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
授業の方法
(Teaching Methods)
講義と演習の組み合わせ
成績評価方法
(Method of Evaluation)
授業中の発表、出席、学期末レポート
教科書
(Required Textbook)
参考書
(Reference Books)
授業中に指示する
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
火曜日4限の「認知文法入門」の内容を理解していることを前提として授業を行う。

水2 小林正人 「比較言語学(1)」

講義題目
(Course Title)
比較言語学 (1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
比較・歴史言語学および言語変化の基本的な考え方について学び、実際の言語データの分析に活かせるよう練習する。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
比較言語学、歴史言語学、比較再建、祖語、言語変化、系統論、ピジンとクレオール
[外国語用]
comparative linguistics, historical linguistics, comparative reconstruction, Proto-language, language change, genetic relationship of languages, pidgin and creole
授業計画
(Schedule)
1. 音変化
2. 借用
3. 類推
4. 比較方法と再建
5. 世界の語族
6. 言語変化のモデル
7. 内的再建
8. 意味変化と語彙変化
9. 形態変化
10. 統語変化
授業の方法
(Teaching Methods)
教科書に基づいた講義と、練習問題の解説によって行う。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
出席・宿題提出 (50%)
学期末試験 (50%)
教科書
(Required Textbook)
Lyle Campbell 2012. Historical Linguistics (3rd edition), Edinburgh University Press (または MIT Press). の1章から8章
初回に若干部頒布します。
参考書
(Reference Books)
特になし。
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
冬学期の「比較言語学 (2)」の内容と連続していますが、(2)から先に履修することもできます。
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
その他
(Others)
特になし。

水2 峯松 信明 「音響音声学(1)」

講義題目
(Course Title)
音響音声学(1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
本授業では高校で物理を履修しなかった学生を対象に,音声の物理的・音響的側面について分かり易く解説す る。音声は音,即ち,空気(酸素・窒素・二酸化炭素など)の振動現象でしかない。しかし,その振動現象を鼓膜が捉えると,言語メッセージ,意図,感情,更 には話者の健康状態など,様々な情報を我々は知覚できる。一体,空気振動のどこにこれらの豊富な情報が隠れているのだろうか?
音響音声学(1)では,音の基礎物理から始め,音声を音響的に眺めるために必要な基礎知識を提供すると共に,音刺激に対するインタフェースである聴覚の処理についても学ぶ。
音 響音声学(2)では,スマホで有名になった音声認識(音声テキスト変換)や音声合成(テキスト音声変換)についても,その基礎知識を提供する。その後,言 語獲得,外国語学習,言語障害,更には言語の起源に関する様々な話題も提供する。音声の音響的側面についての知識が身に付くと,これら様々な言語現象に対 して,従来とは違った視点で議論を展開できる可能性があることを示す。
なお,音響音声学(1),(2)で通年の授業となるが,年明けてからの5コ マが一番面白い講義となるはずである。(1)は文系学生でも十分理解できる内容だと自負している。(2)の技術的な内容をなんとか(概要だけでも)理解で きれば,一番面白い最後の5コマに辿り着ける,そういう通年授業の構成となっている。是非頑張って欲しい。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
授業の方法
(Teaching Methods)
スライドを使った講義を行なう。スライドは事前に授業 web に upload するので,それを印字し持参することを薦める。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
学期末に課題を出し,レポート提出してもらう。
教科書
(Required Textbook)
参考書
(Reference Books)
言語聴覚士の音響学入門(海文堂出版)
音声言語処理と自然言語処理(コロナ社)
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
http://www.gavo.t.u-tokyo.ac.jp/~mine/japanese/acoustics/class.html

水4 全教員 「言語学演習(1)」

講義題目
(Course Title)
言語学演習(1)
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
大学院生が研究発表をし、それを教員や他の大学院生が批判・検討することにより、各自が研究を一層進めることを目標とする。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
研究室でのガイダンスの際に年間のスケジュールを決める。
授業の方法
(Teaching Methods)
受講者は発表を1回おこない、他の発表に対するディスカサントを2回勤めなければならない。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
授業参加(発表・発言など)
授業出席率
教科書
(Required Textbook)
なし
参考書
(Reference Books)
なし
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
言語学専門分野所属の大学院生・研究生に限る。

木1 小林正人 「言語比較論」(教養学部総合科目 駒場キャンパス)

木4 長屋尚典 「使役の言語類型論」

講義題目
(Course Title)
使役の言語類型論
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
使役は一般に二つの事態からなる複合事態である。すなわち、使役者 X が被使役者 Y に働きかける使役事態 (causing event) と、その結果 Y が X の意図したとおりに状態変化を被ったり動作を行ったりする被使役事態 (caused event) からなる。使役には意味的・形式的観点からさまざまな下位分類が存在する。意味的には、使役事態と被使役事態の関係によって直接使役や間接使役など に分類でき、使役者と被使役者の関係によって操作使役、指示使役、強制使役、許容使役などが区別できる。形式的には、使役が一つの述語のなかで 表現される場合、語彙的使役、形態論的使役、分析的使役の三タイプが存在し、上記の意味的パラメタと相関することが知られている。世界の言語の使 役構文がどのように同じでどのように異なるかは、言語類型論の重要なトピックの一つである。

この授業ではこの使役構文をとりあげ以下のことを目指す:

[A] 使役構文を論じる際にどのような問題があるのか理解する。
[B] 使役構文が実際にどのように分析されているか論文を通して学ぶ。
[C] [A][B]を前提として自ら使役構文についてオリジナルな研究を行う。

授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
言語学、言語類型論、フィールド言語学、使役、ヴォイス
[外国語用]
linguistics, linguistic typology, field linguistics, causatives, voice
授業計画
(Schedule)
1. Causation and causatives
2. Causation types and causative types (I)
3. Causation types and causative types (II)
4. Causatives and transitivity alternations
5. Causatives and case-marking typology
6. Causatives and complex predicates
7. Causatives and passives (I)
8. Causatives and passives (II)
9. Causatives and applicatives
10. Grammaticalization of causatives
11. Negative causation and responsibility
12. Volition and control
13. Force dynamics
14. Term paper presentation (I)
15. Term paper presentation (II)
授業の方法
(Teaching Methods)
授業は大きく二つの部分からなっている:

[A] 論文精読とディスカッション: 使役構文にかかわる論文を参加者全員で読みながら使役構文にかかわる言語普遍性や多様性、理論的問題、分析方法などについて議論する。
[B] プロジェクト: 論文を通して学んだことを活かし、自分の専攻する言語や自分の興味のある言語の使役構文についてまとめたり新しい分析を提示しようと試みる。

成績評価方法
(Method of Evaluation)
成績評価は (a) 授業での発表、および (b) プロジェクトに関する期末レポートによって行う。

レポートの内容は以下の通り:
大学院: 自分の専門とする言語の使役構文についてオリジナルな発表を行う。
学部: 自分の知らない言語の文法書を読み、その言語の使役構文についてまとめる。

教科書
(Required Textbook)
特になし。
参考書
(Reference Books)
授業中に指示する。
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
言語学、特に、形態論・統語論についてある程度の基礎がある方が望ましい。
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
https://sites.google.com/site/naonorinagaya/teaching

金2 小林正人 「言語研究のための情報処理」

講義題目
(Course Title)
言語学演習(1)―言語研究における情報処理
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
言語データの検索や分析、さらには言語学の論文作成に役立つ情報処理能力を、Python と R言語のプログラミング課題によって習得することを目指す。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
Pythonプログラミング、Rプログラミング、言語コーパス
[外国語用]
Python programming, R programming, language corpus
授業計画
(Schedule)
1. Python使用のための環境を整える。
2. OS間の違いと文字コード
3. ファイルを1行ずつ読み込む処理
4. 検索、置換、ソート
5. 行をまたぐ処理
6. リストを使う
7. ディクショナリを使う: 韻律分析
8. KWIC索引の作成
9. ウェブページを言語データとして使う
10. NLTKを使う
11. Rによる基本的な検定(1)
12. Rによる基本的な検定(2)
13. 課題発表
授業の方法
(Teaching Methods)
説明に沿って持参したコンピュータでプログラミング課題を解くことで、知識の定着をはかる。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
受講者は授業で紹介された方法を用いて言語を研究する課題を設定し、成果を発表してレポートとして提出する。
教科書
(Required Textbook)
プリントを配布する。
参考書
(Reference Books)
柴田淳. 2012.『みんなの Python 第3版』ソフトバンククリエイティブ
履修上の注意
(Notes on Taking the Course)
プログラミングに使うことのできるパーソナルコンピュータを持参することが望ましい(OS, スペックは問わない)。
関連ホームページ
(Course-Related Websites)
その他
(Others)
授業中貸与できるノートパソコンが若干台あるので、持っていない者は相談すること。

金3 ブガエワ・アンナ 「アイヌ語」

講義題目
(Course Title)
アイヌ語
授業の目標・概要
(Course Objectives/Overview)
アイヌ民族は、昔から自然と共生し、自然の知恵を学び、素朴な生活をしながら、伝統文化や固有の言語による 豊富な口承文芸を生み出してきた。アイヌ語は日本語とまったく違う言語であり、その系統は未だに謎のままである。現在、母語話者が殆どいない状態である が、100年前からカタカナおよびローマ字表記による口承文芸等の記録が盛んに行われていたので、世界に多数ある固有の文字を持たない言語の中でも、もっ とも豊富な文字・音声資料が残っている言語といってよいだろう。授業ではフィールドワークによって収集したアイヌ語の音声・ビデオ資料を見たり、分析した りする。アイヌ語にはヴォイス(態)が非常に豊富で、名詞抱合などの言語類型論的に興味深い現象が多く見られるので、アイヌ語文法の学習を通して受講生の 専門にしている言語また言語学全般についての理解を深めることを目標にする。また、多くの受講生にとって非常に身近であるはずなのに、実際は余り触れる機 会のないアイヌ文化に関する知識を深めることにもなる。
授業のキーワード
(Keywords)
[日本語用]
アイヌ語、言語類型論、口承文芸、アイヌ文化
[外国語用]
授業計画
(Schedule)
授業の計画は以下のとおりである。(受講生の関心やレベルに合わせて多少変更する可能性がある。)
第1回 本演習の概要。アイヌ民族の背景及び現状。社会言語学的状況。アイヌ語の特有性。
第2回 系統及び方言の特徴。アイヌ語の研究史。
第3回 アイヌ文化、口承文芸のジャンル。
第4回 音韻体系―音素目録―。
第5回 音韻体系―音節の構造、アクセント、音韻交代―。
第6回 言語類型論の観点から見たアイヌ語―Greenberg (1963)を中心に―。
第7回 文法関係―自動詞構文vs.他動詞構文―。
第8回 人称・数の標識。とりわけ不定人称標識の用法。
第9回 単複の区別がある動詞。
第10回 コピュラ文、命令文。
第11回 疑問文、否定文。
第12回 助動詞、接続助詞の使い方。ヴォイス(態)と名詞抱合。
第13回 証拠性。
第14回 名詞句の構造 -修飾句と所有句-。
第15回 名詞修飾構文-関係節と補文節-。まとめ。
授業の方法
(Teaching Methods)
本授業においては、上記のような事柄について解説しながら、受講生と共に考えてゆきたい。また、授業では講師がフィールドワークによって収集したアイヌ語の資料を見たり、聞いたりすることによって、問題に関する理解を深める。
成績評価方法
(Method of Evaluation)
レポートまたはテスト(いずれかを選択)   50%
平常点評価   (出席と授業への参加態度)50%
教科書
(Required Textbook)
Bugaeva, Anna. 2012. Southern Hokkaido Ainu. In: Nicolas Tranter (ed.) The languages of Japan and Korea. (Routledge Language Family Series). London: Routledge, 461-509.
ブガエワ・アンナ. 2013.「北海道南部のアイヌ語」児島康弘、長崎郁訳.『早稲田大学高等研究所紀要』第6号.東京:早稲田大学.33-76 頁.http://www.waseda.jp/wias/achievement/bulletin/data/a_bugaeva_2013.pdf
参考書
(Reference Books)
Bugaeva, Anna. 2004. Grammar and folklore texts of the Chitose dialect of Ainu (Idiolect of Ito Oda).+ 1 audio CD. ELPR Publication Series A-045. Osaka.
Greenberg, Joseph.1963. Some universals of grammar with particular reference to the order of meaningful elements. In: J. Greenberg (ed.) Universals of language Cambridge, MA: MID Press.
Haspelmath, Martin , M. S. Dryer, D. Gil, and B. Comrie (eds.) (2005) The World Atlas of Language Structures (WALS), Oxford and New York: Oxford University Press.
Available online at http://www.wals.info/
中川裕, 中本ムツ子著. 2004.「 CDエクスプレスアイヌ語」.東京:白水社
Payne, Thomas E. 1997. Describing morphosyntax. A guide for field linguists. Cambridge: Cambridge University Press.
田村すゞ子. 1988.「アイヌ語」『言語学大辞典』第1巻 亀井他編:三省堂