Rigveda を MS-WORD 97 で

1994年に出版された Barend A. van Nooten, Gary B. Holland の RIGVEDA, A METRICALLY RESTORED TEXT, Harvard Oriental Series, Vol. 50, Harvard UP は今後の研究の出発点となる画期的な本でした.さらにこの本には,本文全体を電子テクストにして収めたディスクがついています.そこに含まれるのは,国際サンスクリット学会で採用されたコードページに従ったDOSテクストです.しかし,日本語のOSで動いているコンピュータでは(WINDOWSからMACまで),DOSのテクストファイル自体を読み込むことはできても,日本語表示のためのShift-JISコードがサンスクリット表記のための記号付きのアルファベットと重なるため,サンスクリットのテクストを表記することは困難でした.ディスクには各種の検索プログラムがいっしょに含まれているにもかかわらず,一般にはそのままではなかなか利用されていないようです.

このテクストファイルは,たとえば日本語版のMS-WORDで読み込んで,しかるべくフォントを指定しても正しく表示することはできません.これは,WINDOWSの側で,日本語コードにあたる部分には日本語フォント以外への変換を許さないガードをしているためだと思われます.テクストファイルをテクストファイルとして正しく表示させるためには,Windows 95では 「WZ Editor」や「秀丸エディタ」でサンスクリット表示のためのフォントを指定してファイルを開くことで可能です.しかしその場合,記号付きの文字の入力には,自分でマクロを開発する必要があります.

MS-WORDでこれらのファイルを扱えれば,入力は「挿入」の「記号と特殊文字」のメニューで簡単にショートカット・キーを「割り当て」ることができます.また検索・置換も,検索ウィンドウに10進3桁の文字コードを「^0xyz」の形で入れることで可能です.そこで日本語版のMS-WORDでも正しく表示できる形のWORD用ファイルと,サンスクリット表示のためのTruetypeフォントを作成しました.

オリジナルのテクストファイルとの唯一の違いは,"a acute"を160(A0h)から225(E1h)に換えたことです.これはWORDがA0hを「改行をしないスペース」として使用するためです.サンスクリット表示のためのSANSKR.TTFでは,サンスクリット用以外の記号付きの文字は,DOSのCodepage 437(英語用)に準拠しています.これはWindows Character Setとかなり違いますので,ヨーロッパ諸語に使用するアクセントやウムラウト付きの文字は,このフォントを使う限り新たにショートカット割り当てをやり直さなければなりません.

今のところSANSKR.TTFは標準スタイルだけです(WORDの中で斜体や太字の指定をすれば,このフォントをもとに加工することになります).字体の違うイタリックやボールド,ボールド・イタリックは今後作成して公開します.

いうまでもありませんが,このファイルの利用は,非営利的・個人的な利用に限ります.公刊物に利用する場合は,上記の Harvard Oriental Series のタイトルに必ず言及してください.またシリーズ編集者の Michael Witzel教授の要請により,当初用意した新しい metrical text の公開はしばらく見合わせ,代わりに伝統的に用いられている Aufrecht編集の Samhita textを公開します.Metrical text の方も近い将来に公開する許可が得られるものと期待します.

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1998年1月22日

熊本 裕